【2026年最新】レベル3.5飛行とは?
一般人でもできる?必要な国家資格・機体・対応シーンを完全図解
2023年12月に新設されたレベル3.5飛行制度は、従来のレベル3飛行の要件を大幅に緩和した新しい飛行区分です。補助者・看板の配置が不要になり、山間部の点検・測量・物流・農業活用が格段に効率化されました。本記事では、国土交通省の一次資料に基づき、レベル3.5の定義・レベル3との違い・必要な3要件(国家資格・機上カメラ・保険)・申請5ステップ・対応機体一覧までを、フルカラーのイラスト図解で完全解説します。
【一次情報元】 国交省 レベル3.5飛行申請PDF / 国交省 レベル3.5制度新設コラム / DJI JAPAN 公式発表
一般人でもレベル3.5飛行は可能。ただし「二等国家資格+対応機体+機上カメラ+保険」の4点セットが必須
- レベル3.5飛行は、山・海・河川・森林・農地など無人地帯で、補助者・看板配置なしで行える目視外飛行
- 機体認証は不要(レベル3.5では要件外)だが、二等以上の国家資格+目視内飛行の限定解除は必須
- 飛行経路の安全確認は機上カメラ+地上モニターで代替(従来の補助者・看板を撤廃)
- 個人事業主・一般ユーザーでも、KFJの二等国家資格コース(最短2日)を修了すれば取得可能
- DJI Mini 4 Pro/Mini 5 Pro/Mavic 3シリーズ/Matriceシリーズなど主要DJI機体20機種以上が対応
そもそも「通常のドローン飛行申請」では何が必要なのか?
レベル3.5の価値を理解するには、まず「通常の飛行許可・承認申請(個別申請/包括申請)で何を求められているか」を押さえる必要があります。ここが分からないまま「レベル3.5は補助者不要!」と聞いても、その”ありがたみ”は伝わりません。
ドローンを飛ばすには、原則「特定飛行」の許可・承認が必要
航空法上、以下のいずれかに該当する飛行は「特定飛行」と定義され、原則として国土交通大臣の許可または承認を受けなければ実施できません。
- 人口集中地区(DID)の上空での飛行
- 夜間の飛行
- 目視外の飛行
- 人・物件から30m未満の飛行
- 催し場所上空の飛行
- 危険物輸送・物件投下
- 150m以上の高度での飛行
- 空港等周辺での飛行
この申請には2種類あります。都度出す個別申請と、1年間有効な包括申請です。業務でドローンを飛ばす事業者の多くは、後者の包括申請を取得しています。
【最重要】通常申請では「立入管理措置」の実施が義務付けられている
そして、通常申請(個別・包括いずれも)で目視外飛行を行う場合、審査要領上「立入管理措置」の実施が求められます。これがドローン現場最大のボトルネックです。
■ 通常申請での目視外飛行に求められる主な立入管理措置
① 補助者の配置:飛行経路の要所に補助者を配置し、第三者の立入りを監視・制止
② 立入管理看板の設置:飛行区域の外周に「無人航空機飛行中/立入禁止」等の看板・コーン等を設置
③ 道路・鉄道横断時の一時停止:横断のたびに飛行を停止し、通行の有無を目視確認
④ 飛行経路の事前踏査:第三者が立ち入り得る場所の洗い出しと対策の記録
出典:国交省「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」
この「立入管理措置」が、現場を苦しめる3つの理由
| 課題 | 現場で何が起こっているか |
|---|---|
| コスト増大 | 山間部の送電線点検で数kmの飛行経路に補助者を3〜5名配置。1回の飛行で人件費だけで10万円超えも珍しくない。 |
| 物理的に不可能な現場 | 砂防ダム・急峻な山林・海上・河川など、そもそも補助者を配置できない地形が全国に多数存在。 |
| スピード低下 | 道路・鉄道の横断ごとに飛行を一時停止する必要があり、数km先の点検に半日かかることも。 |
この結果、「業務でドローンを使いたくても、立入管理措置のせいで採算が合わない」という声が全国から上がっていました。特に、地方インフラ点検・災害調査・物流分野では、この要件が普及の最大の壁となっていたのです。
レベル3.5飛行とは何か?国交省の定義を図解で理解する
ここまでで、「通常申請では立入管理措置が必須」という前提が押さえられました。ではその要件を撤廃したレベル3.5とは、具体的にどう位置づけられるのか。従来のレベル3飛行との対比で見ていきましょう。
レベル3.5飛行の正式定義(国土交通省による)
国交省の公式資料では、レベル3.5飛行を次のように定義しています。
「レベル3.5飛行」制度は、ドローンの操縦ライセンスを保有する者が、機上のカメラにより歩行者等の有無を確認することを条件に、補助者や看板の配置等といった従来の立入管理措置に係る要件を撤廃し、道路や鉄道等の横断を容易化した飛行区分である。
出典:国土交通省「コラム「レベル3.5飛行」制度の新設」
つまりレベル3.5は、「レベル3と4の中間」ではなく、レベル3飛行の要件緩和版と理解するのが正確です。カテゴリー分類上もカテゴリーII飛行に属し、レベル4(第三者上空の目視外飛行)とは明確に区別されます。
レベル3 → レベル3.5 で「不要になったこと」
| 要件項目 | レベル3飛行(従来) | レベル3.5飛行(新制度) |
|---|---|---|
| 補助者の配置 | 必要 | 不要 |
| 立入管理看板の設置 | 必要 | 不要 |
| 道路・線路横断時の一時停止 | 必要 | 不要 |
| 機体認証 | 不要 | 不要 |
| 国家資格(技能証明) | 不要(民間資格でも可) | 必要(二等以上・目視内限定解除必須) |
| 第三者賠償責任保険 | 推奨 | 必須 |
| 機上カメラ(地上モニター) | 推奨 | 必須 |
| 申請書類 | 様式3種+別添資料8種 | 運航概要宣言書で簡素化 |
レベル3.5飛行の必須3要件をイラストで理解する
レベル3.5飛行を実施するには、以下の3要件を全て同時に満たす必要があります。1つでも欠けると申請が通りません。
国家資格(無人航空機操縦者技能証明)の保有
操縦者が二等または一等の無人航空機操縦者技能証明を保有していること。単に資格を持っているだけでは不十分で、「目視内飛行の限定解除」を必ず受けている必要があります。技能証明カードの裏面に限定条件が記載されているので確認してください。
- 二等資格:レベル3.5対応可(実務標準)
- 一等資格:レベル3.5対応可(オーバースペック気味)
- 民間資格・無資格:レベル3.5不可
KFJドローンスクール(国交省登録講習機関 T0629001)では、二等資格取得コースで目視外飛行の限定解除まで一括対応しています。
機上カメラ+地上モニターによる無人確認
機体に搭載したカメラで、飛行経路直下および周辺に第三者(歩行者・車両など)がいないことをリアルタイムに確認できる性能が必須です。地上のモニター(コントローラー画面またはタブレット等)に映像を伝送し、操縦者が目視で確認します。
- カメラの視野角・解像度が十分であること
- 飛行経路の直下と進行方向前方を確認できる角度に設定できること
- 電波伝送遅延が実運用に耐えること
後述の「レベル3.5対応機体一覧」に記載の機体は、いずれもこの要件を満たします。
第三者賠償責任保険への加入
万が一の墜落事故で第三者に被害が発生した際に備え、十分な補償額を設定した第三者賠償責任保険への加入が必須です。金額の具体的な下限は明示されていませんが、実務上は対人・対物ともに1億円以上の補償で申請が通っている実例が多く報告されています。
- 個人向け:DJI Care保険、Airper(エアパー)ドローン保険など
- 法人向け:三井住友海上・東京海上日動・損保ジャパン等の産業用ドローン保険
レベル3.5飛行 申請までの5ステップ
3要件を満たしたら、いよいよ地方航空局への申請です。従来のレベル3申請と比べて大幅に簡素化されており、「運航概要宣言書」1枚で申請できるのが最大の特徴です。
STEP 1|二等国家資格の取得(目視内限定解除まで)
KFJの登録講習機関で二等無人航空機操縦士コースを受講。最短2日(経験者コース)〜4日(初学者コース)で修了可能。修了後、指定試験機関で学科試験・実地審査を受けて技能証明カードを取得します。
STEP 2|対応機体の準備
DJIやACSL等の対応機体を購入または借用。後述の「対応機体一覧」を参照。機体登録(DIPS2.0)とリモートID搭載も忘れずに。
STEP 3|第三者賠償責任保険への加入
対人・対物ともに補償額の高い保険に加入。個人利用でも法人利用でも、レベル3.5申請では加入証明書の提出が求められます。
STEP 4|運航概要宣言書の調整・提出
飛行経路の概要、機体情報、操縦者情報、緊急連絡体制などを「運航概要宣言書」1枚にまとめて航空局と事前調整。従来必要だった「様式3種+別添8種」が大幅簡素化されています。
STEP 5|地方航空局へレベル3.5申請
航空局から送付される「レベル3.5飛行用申請様式」+「レベル3.5飛行マニュアル」を用いてDIPS2.0で電子申請。審査期間はおおむね2〜4週間で許可・承認が下りるケースが多く報告されています。
レベル3.5対応機体一覧|DJI公式発表(2025年7月8日更新)
DJI JAPAN株式会社が公式に「レベル3・3.5飛行申請時の情報提供対象」として発表した機体は、下記20機種以上に及びます。これらの機体は、DJIから発行される「機体の初期故障期間の証明」「製造者が保証する落下距離」の資料を、購入元代理店経由で入手できます(申請書類に添付が必要)。
カメラドローン(一般向け)(8機種)
- DJI Inspire 3
- DJI Mavic 4 Pro
- DJI Mavic 3 Pro / Mavic 3 Pro Cine
- DJI Mavic 3 / Mavic 3 Cine
- DJI Mavic 3 Classic
- DJI Air 3 / Air 3S
- DJI Mini 4 Pro
- DJI Mini 5 Pro
産業用(大型機・点検・測量)(8機種)
- DJI Matrice 400
- DJI Matrice 350 RTK
- DJI Matrice 300 RTK
- DJI Matrice 30 / 30T / 30 Dock版 / 30T Dock版
- DJI Matrice 3D / 3TD
- DJI Matrice 4E / 4T
- DJI Matrice 4D / 4TD
- DJI Mavic 3E / 3T / 3M
物流・配送(DJI Delivery)(2機種)
- DJI FlyCart 30
- DJI FlyCart 100
「レベル3.5対応」は「型式認証」とは別物です
- レベル3.5対応:DJIが申請時の情報提供資料を発行する機体(今回の一覧の機体全て)
- 第二種型式認証機:国土交通省の型式認証を取得した機体(DJI Mini 4 Pro/Matrice 4D/4TD等)
- 両者は独立した制度で、レベル3.5申請は機体認証・型式認証を取得していなくても可能
- ただし、国産機(ACSL SOTEN、イームズ E6150TC、Prodrone PD4B-ML、エアロセンス AS-VT01K等)も同様にメーカー資料を用意すれば申請可能
国産機についての一次情報は、各メーカー公式ページ・型式認証済み機体一覧のページをご確認ください:
レベル3.5飛行の主要な活用シーン
実際にレベル3.5飛行がどのような場面で活用されているか、代表的な4つの活用シーンをイラストで紹介します。
① 山間部インフラ点検(送電鉄塔・砂防ダム・橋梁)
山間部の送電鉄塔や砂防ダム、橋梁下部などは補助者の配置が物理的に困難でした。レベル3.5により、ドローン単独での目視外点検が可能となり、点検効率が3〜5倍に向上した事例が全国で報告されています。
② 河川・湖沼上空の測量
広域の河川流量測量や湖沼の水質調査など、広範囲を無人で飛行する測量業務で活用されています。エアロセンス社のVTOL機「AEROBO wing AS-VT01K」を用いた天竜川でのレベル3.5飛行実施が国内初の事例として知られています。
③ 無人地帯の物流配送
離島間物流、山間集落への物資配送、災害時の医薬品配送などで実証実験が進行。DJI FlyCart 30/FlyCart 100やイームズ E6150TC、Prodrone PD4B-ML Mark02が採用されています。
④ 農地・森林の広域監視
広大な農地の生育状況モニタリング、森林の害虫被害調査、太陽光発電施設の異常検知などで、DJI Mavic 3M(マルチスペクトル)や Matrice 3D/3TDが活用されています。
レベル3.5飛行に関するよくある質問
Q1. レベル3.5飛行は個人でもできますか?
はい、可能です。個人事業主・一般ユーザーでも二等国家資格を取得し、対応機体+機上カメラ+保険を揃えれば申請可能です。ただし、業務上の実飛行実績が求められるケースが多いため、初回申請では小規模な運用から始めることが推奨されます。
Q2. 民間資格(DPA・JUIDA等)でもレベル3.5飛行できますか?
できません。レベル3.5飛行は国交省の技能証明(二等または一等)が必須です。民間資格はレベル1(目視内)・レベル2(目視内自動)飛行までは有効ですが、レベル3以上の目視外飛行では国家資格が必須となります。
Q3. 機体認証は本当に不要ですか?
はい、レベル3.5飛行の要件には機体認証は含まれません。ただし、対応機体であることは必須(メーカーから初期故障期間・落下距離の証明が発行される機体)です。
Q4. レベル3.5飛行の申請にはどのくらい時間がかかりますか?
運航概要宣言書の事前調整+レベル3.5申請様式の提出から、おおむね2〜4週間で許可・承認が下りるケースが多く報告されています。初回申請は経路の詳細確認で時間がかかる傾向があります。
Q5. 補助者や看板が不要になっても、安全対策はどうすればいい?
機上カメラでの経路確認に加え、飛行前の現地下見・気象確認・緊急着陸地点の設定・第三者への事前周知が実務標準です。運航概要宣言書には、これらの安全対策の具体的内容を明記する必要があります。
Q6. レベル3.5とレベル4はどう違いますか?
レベル4は「第三者上空の目視外飛行」(都市部での宅配等)で、こちらは第一種機体認証+一等国家資格が必須となります。レベル3.5は「無人地帯」限定で、機体認証は不要です。目的地・飛行環境に応じて申請区分を選択します。
Q7. KFJで二等資格を取ると、レベル3.5飛行はすぐできますか?
KFJの二等資格コース(最短2日)で目視内限定解除まで一括対応しています。修了後、対応機体・保険・運航概要宣言書を整えれば、レベル3.5申請の準備は完了です。KFJ卒業生には申請書類の作成サポートも実施しています。
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【出典・一次情報一覧】
本記事の要件・審査要領・対応機体データは、以下の一次情報源に基づきます。
- 国土交通省航空局「カテゴリーII飛行(レベル3.5飛行)の許可・承認申請について」PDF:https://www.mlit.go.jp/koku/content/001725836.pdf
- 国土交通省 コラム「レベル3.5飛行制度の新設」:https://www.mlit.go.jp/statistics/file000004/html/n1211c05.html
- 国土交通省 無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーII飛行):https://www.mlit.go.jp/common/001521484.pdf
- DJI JAPAN「DJI製無人航空機のレベル3/3.5飛行への対応について」(2024/5/9発表・2025/7/8更新):https://www.dji.com/jp/media-center/announcements/a-notice-for-using-dji-drones
- 無人航空機の飛行許可承認手続サイト(国交省):https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html
